高卒就職 保護者ガイド 第7回/高校生の就職面接、保護者はどうサポートする?
就職面接が近づいてくると、保護者の方も心配になると思います。
「ちゃんと志望動機を言えるかな」
「もう少し面接練習をした方がいいんじゃない?」
「この答え方で本当に大丈夫?」
心配だからこそ、つい口を出したくなるものです。
一方、高校生本人からすると、
「学校でも練習しているのに、家でも言われたくない」
「お母さんに面接官役をされるとやりにくい」
「自分なりに考えているのに、全部直される」
となってしまうことも。
高卒就職では、学校を通して就職活動を進める「学校斡旋」が一般的で、学校でも履歴書や面接について指導を受けながら採用試験に向かいます。
だからこそ、家庭で学校と同じ面接指導をする必要はありません。
保護者にしかできない役割があります。
それは、面接の「正解」を教えることではなく、本人の中にある経験や考えを引き出すことです。
今回は、高校生の就職面接に向けて、家庭でできる具体的なサポートをご紹介します。
① まずは「学校でどんなアドバイスをもらった?」と聞いてみる
家庭で面接練習を始める前に、まず確認してほしいことがあります。
保護者:「学校では、先生からどんなアドバイスをもらってる?」
と聞いてみてください。
学校では、進路指導の先生や担任の先生などが面接指導をしています。
ところが家庭で、
先生:「ここはこうした方がいい」
保護者:「いや、こっちの言い方の方がいい」
となると、一番困るのは高校生本人です。
「結局、どっちが正解なの?」
となってしまいます。
まずは学校でどんな指導を受けているのかを本人から聞き、その内容を尊重したうえで、家庭では別の部分をサポートしてあげるのがおすすめです。
② 「面接練習」より、本人のエピソードを一緒に探す
家庭で特に手伝ってほしいのが、面接で話せるエピソード探しです。
例えば、
「あなたの長所は?」
と聞かれて、
「責任感があります」
と答えたとします。
そこで保護者が、
「責任感って言うなら、『私は責任感があります。なぜなら……』って答えた方がいいよ」
と文章を作ってしまうのではなく、
保護者:「自分で責任感があるなと思ったのは、どんなとき?」
と聞いてみます。
子:「バイトかな」
と返ってきたら、
保護者:「バイトで何かあった?」
子:「忙しいときでも途中で投げ出さなかった」
保護者:「例えばどんなとき?」
と掘り下げていきます。
こうすると、
「責任感があります」という抽象的な言葉が、本人自身の経験につながっていきます。
③ 「そんな大した経験じゃない」は保護者が決めない
高校生と話していると、
「頑張ったことなんてない」
「普通のことしかしてない」
と言うことがあります。
でも、保護者から見ると、
「あれは結構頑張っていたのにな」と思い当たることがありませんか?
例えば、
- 部活動を3年間続けた
- アルバイトを休まず続けた
- 妹や弟の世話をしていた
- 苦手な教科の補習に通った
- 文化祭の準備を最後までやった
- 毎日決まった時間に学校へ行った など。
全国大会に出た、生徒会長をした、難しい資格を取った、といった華やかな経験である必要はありません。
企業が知りたいのは、実績の大きさではなく、
その高校生が普段どのように考え、どのように行動する人なのか ということです。
保護者は長い間お子さんを見ています。
本人が忘れている経験を、
保護者:「そういえば、あのときこんなことしてなかった?」
と思い出させてあげる。
これは家庭だからこそできるサポートです。
④ 親が考える「長所」を押しつけない
ここは少し注意したいところです。
親から見ると、
「この子は絶対に優しい」
「真面目なのが長所」
と思っていても、本人はそこを自分の長所だと思っていないことがあります。
面接を受けるのは本人です。
そのため、
保護者:「あなたは責任感があるんだから、それを自己PRにしなさい」
と決めるより、
保護者:「自分では、自分のどんなところがいいところだと思う?」
と聞いてみてください。
そこから、
「なんでそう思うの?」
「そう思った出来事ってある?」
と一緒に探していきます。
親が思うその子の良さと、本人が自覚している自分の良さは、必ずしも同じではありません。
面接では、本人が納得している言葉の方が、自分の言葉として話しやすくなります。
子:「思い浮かばない」 と答えたときは、
親が思ういいところをたくさん挙げて、褒めてあげてください。
学校の面接練習でダメ出しをされることもあり、お子さんは落ち込んでいるかもしれません。
就職活動は、自分と向き合う孤独な戦いでもあり、採否結果というはっきりとした結果も出るので
高校生は想像以上にメンタルにきています。
そんな時に親に褒められると、照れくさいものの、内心はきっと嬉しいはずです。
⑤ 親子で面接練習をしすぎない
意外かもしれませんが、私は必ずしも、
「保護者が面接官になって、何度も面接練習をしてください」
とはおすすめしていません。
親子だからこそ、難しいことがあります。
保護者が、
「もっとちゃんと座って」
「声が小さい」
「それじゃ伝わらないよ」
「さっき教えたでしょ」
と言えば、
高校生側も、
「分かってる!」
「もういい!」
となりがちです。
せっかくの面接準備が親子喧嘩になってしまっては、本末転倒です。
家庭では、面接官と受験者という関係を無理につくるより、
普段の会話の中で本人の考えを整理する「壁打ち相手」になる
くらいの距離感でも十分です。
⑥ 面接練習は「普段あまり話さない大人」にお願いするのもおすすめ
家庭でもう少し本番に近い練習をしたい場合は、保護者本人ではなく、
普段あまり話す機会のない大人
に面接官役をお願いする方法もあります。
例えば、
- お父さんとは普段あまり話さないなら、お父さん
- おじ・おば
- 親しい知人
などです。
普段からよく話している家族同士では、
「あれ」
「この前のやつ」
「いつものところ」
でも話が通じてしまいます。
しかし、面接官はお子さんの日常を知りません。
普段あまり話さない人に説明すると、
「それって、どういうこと?」
と聞き返されます。
そこで初めて、
「自分では伝わっていると思っていたけれど、初めて会う人には伝わらないんだ」
と気付くことがあります。
学校の面接指導でも
「応援団を頑張った」
→応援団って何? 何人くらいの組織なの? 頑張るってどれくらい?
「部員が少ない中~」
→少ないって、具体的に何人?
「青葉祭りで~」
→きっと文化祭の名称なんだろうけど、よくわからないな
ということが、よくあります。
毎日のようには話していない大人との面接練習
これは面接の練習として、とても良い経験になります。
もし、頼む相手が見つからない場合は、
アッテミーで面接練習も行っていますので相談してください。
対面が難しければ、LINEやzoomを使っても対応可能です。
⑦ 「会社が求める人物像」と本人の経験を一緒につなげる
もう一歩できそうなら、応募する会社の求人票やホームページも一緒に見てみましょう。
例えば企業が、
「チームワークを大切にできる人」
を求めているとします。
そこで、
保護者:「あなたが誰かと協力して何かやった経験ってある?」
と聞いてみる。
「部活かな」
と答えたら、
保護者:
「部活でどんな役割だった?」
「意見が合わないときはどうしてた?」
と聞いていきます。
これは、企業に合わせた「正解」を作るという意味ではありません。
本人が持っているたくさんの経験の中から、その企業に伝わりやすいエピソードを選ぶ作業です。
高校生は、自分の良いところを全く持っていないわけではありません。
むしろ、いろいろな良さを持っていても、
「この会社には、自分のどの部分を伝えればいいんだろう?」
と選ぶことがまだ難しい場合があります。
そこを一緒に整理することも、保護者にできるサポートです。
保護者がしなくていいこと
面接が近づくと心配になりますが、次のことまで保護者が背負う必要はありません。
先生も生徒のために熱心に指導してくれています。
完璧な志望動機を作ること。
面接の模範解答を考えること。
本人の長所を決めること。
先生以上に面接指導をすること。
面接を受けるのは、お子さん本人です。
保護者が作った「きれいな答え」を覚えるより、
多少言葉につまりながらでも、
「私はこう思いました」
と本人の言葉で話せる方が、その子自身は伝わります。
アッテミーが高卒就職支援で大切にしているのも、高校生自身が主体的に進路を選択することです。
面接前、保護者に一番してほしいこと
最後に一つだけ挙げるなら、
「あなたなら大丈夫」と送り出してあげること
だと思います。
高校生にとって、初めて企業へ就職するための面接です。
緊張して当然です。
敬語を間違えるかもしれません。
練習したことを忘れるかもしれません。
思ったように答えられない質問もあるでしょう。
それでも、自分で求人を見て、職場を見学し、応募する会社を決め、面接の日まで準備してきました。
面接直前になったら、新しいアドバイスを増やすより、
「今まで準備してきたことを、自分の言葉で話しておいで」
くらいで送り出してあげてください。
家庭は、もう一つの「面接指導室」になる必要はありません。
本人が安心して挑戦できる場所であること。
それも、高校生の就職活動を支える大切な保護者の役割だと思います。
次回予告
次回は、高卒採用の試験では実際に何をするのかを取り上げます。
面接だけでなく、一般常識、作文、適性検査など、高卒就職の採用試験には企業によってさまざまな内容があります。
「SPIは出る?」「筆記試験はどのくらい勉強すればいい?」「試験内容は事前に分かる?」
そんな疑問にお答えしながら、求人票のどこを確認すれば試験内容が分かるのか、学校に蓄積されている過去の受験情報をどう活用すればよいのかについても解説します。
