高卒就職 保護者ガイド 第14回/内定したら卒業まで何をする?入社までに親子で準備しておきたいこと
高校生の就職活動で内定が決まると、本人はもちろん、保護者の方もほっとするのではないでしょうか。
求人票を見て、応募前職場見学へ行き、履歴書を書き、面接練習を重ね、採用試験を受ける。
長かった就職活動がひと区切りすると、
「これで就職活動は終わり」
「あとは卒業を待つだけ」
「春からは社会人。子育ても一区切り」
と思うかもしれません。
でも、高校卒業後に就職する高校生にとって、内定から入社までの数か月は「高校生から社会人へ移るための準備期間」でもあります。
仕事の勉強を先取りする必要はありません。
むしろ大切なのは、残りの高校生活をきちんと過ごしながら、自分で生活を整えること、必要な準備をすること、分からないことを確認することなど、少しずつ「自分のことを自分で管理する」経験を増やしていくことです。
今回は、内定後から卒業・入社までに高校生本人と保護者が確認しておきたいことを紹介します。
内定が決まったら、もう就職活動は終わり?
内定が決まれば、応募先を探したり面接練習をしたりする就職活動はひと区切りです。
ただし、高校生活は卒業まで続きます。
内定が決まった安心感から、遅刻や欠席が増えたり、学校生活がおろそかになったりしないよう、まずは残りの高校生活を大切にしましょう。
企業に採用してもらうことがゴールではありません。
4月からその会社で働き始め、社会人として生活していくことが本当のスタートです。
そのための準備期間として、卒業までの数か月を過ごしていきましょう。
内定後、企業から届く書類は誰が確認する?
内定後から入社までには、企業からさまざまな案内や書類が届くことがあります。
内容や時期は企業によって異なりますが、入社までの予定や提出が必要な書類などが案内されることがあります。
内定から卒業式までは、学校から本人に渡されます。
卒業式以降は、自宅に送られてくることがあります。
自宅に会社から書類が届いたら、まず本人が内容を確認する習慣をつけていきましょう。
保護者が先に封筒を開けて、
「これ書いておいたよ」
「ここに出すみたいだから準備しておいたよ」
と全部進めてしまうのではなく、
「会社から何か届いていたよ」
「提出期限はいつ?」
「自分で準備できそう?」
と本人に確認してもらいます。
もちろん、高校生には分からない書類もあります。
そんなときは保護者が一緒に確認して構いません。
大切なのは、「親が管理する」のではなく「本人が管理し、必要なところを親が手伝う」へ少しずつ移していくことです。
入社までに生活リズムを変えた方がいい?
入社が近づいてきたら、ぜひ確認してほしいのが4月からの生活時間です。
高校時代より早く家を出ることになる人もいれば、通勤時間が長くなる人もいます。
たとえば8時30分始業でも、8時30分に会社へ到着すればよいわけではありません。
自宅から駅までの時間、電車、乗り換え、最寄り駅から会社までの時間などを考えると、高校時代よりかなり早く起きる必要があるかもしれません。
入社直前になって突然、
「明日から5時半起き!」
では、身体もなかなかついていきません。
春休みに入ったら、実際の出勤時間から逆算して、
何時に起きる?
何時に朝食をとる?
何時に家を出る?
何時ごろ寝れば睡眠時間を確保できる?
と考えてみましょう。
少しずつ社会人生活に近いリズムへ整えていくと、入社後の負担を減らせます。
入社前に通勤ルートをもう一度確認しておく
採用試験で会社へ行ったことがあっても、入社前に通勤経路をもう一度確認しておくと安心です。
特に確認したいのは、
- 自宅を出る時間
- 利用する電車やバス
- 乗り換え
- 最寄り駅から会社までの経路
- 朝の通勤時間帯にかかる時間・混雑具合
- 交通機関が遅れた場合の対応
などです。
可能なら、実際に出勤する時間帯に近い時間で移動してみるのも一つの方法です。
休日のお昼に行ったときと、平日の朝では駅や電車の混雑状況が違うことがあります。
ここでも保護者が全部ルートを決めるのではなく、本人に調べてもらいましょう。
スーツや仕事着はいつ準備する?
入社時に必要な服装は企業によって異なります。
スーツで出社する会社もあれば、制服や作業着が支給される会社もあります。
まずは、会社からの案内を確認することが基本です。
必要に応じて、(特に入社式に向けて)
- スーツ
- シャツ
- 靴
- ベルト
- 靴下
- 通勤用のかばん
- その他、会社から指定されたもの
などを準備します。
作業着や制服が支給される場合でも、「初日は何を着て行くのか」は確認しておきましょう。
分からない場合は自己判断せず、学校や企業からの案内を確認します。
入社直前の週末に慌てて全部そろえることがないよう、早めに確認しておくと安心です。
(卒業生で入社式にスーツを着ていくことを知らずに、短パンでいき一人浮いて
給料が入る銀行口座はどうする?
企業によっては、給与振込口座などの情報を入社前後に提出することがあります。
本人名義の銀行口座をまだ持っていない場合などは、必要に応じて準備することになります。
ただし、給与振込に利用する金融機関などについて企業から指定・案内がある場合もあるため、先に口座を作るのではなく、まず会社からの案内を確認しましょう。
また、入社後は「自分で働いて得たお金」を管理する生活が始まります。
給与がいくらかだけでなく、
- 毎月どのくらい貯金するか
- スマートフォン代などをどうするか
- 家にお金を入れるのか
- 自由に使うお金をどう考えるか
など、お金について親子で話す機会をつくっておくのもよいでしょう。
ただし、家庭によって考え方は違います。
「社会人になったら○万円家に入れるべき」と一方的に決めるのではなく、本人と家庭で相談してルールを決めることが大切です。
入社前に仕事の勉強をしておいた方がいい?
「仕事について何も知らないまま入社して大丈夫なの?」
と心配になる保護者の方もいるかもしれません。
会社から事前課題や取得しておく資格などの指示がある場合は、それに取り組みます。
一方、特に指示がないのであれば、保護者が専門書を買って仕事を先取りさせる必要まではありません。
入社後には、新入社員研修や職場で仕事を教えてもらう期間があります。
それよりも高校生のうちに身につけておきたいのは、
時間を守る
自分で準備する
分からないことを確認する
挨拶や返事をする
体調を自分で管理する
といった、毎日の基本的な習慣です。
特別な「社会人トレーニング」を家庭で始めるというより、普段の生活の中で少しずつ本人に任せることを増やしていきましょう。
18歳になったら、親が会社へ連絡してはいけない?
高校卒業後に就職すると、保護者と会社との関係も学校時代とは変わります。
高校では、欠席や遅刻について保護者が学校へ連絡することも珍しくありません。
でも、就職後は基本的に本人と会社の関係になります。
体調不良で休むとき、電車が遅れているとき、仕事について相談したいとき。
まず本人が会社へ連絡し、自分で状況を伝えることが必要になります。
そのためにも入社までの期間に、
「困ったらお母さん・お父さんが代わりに連絡してくれる」
ではなく、
「まず自分で確認して、自分で伝える」
という習慣を少しずつつくっておくことが大切です。
もちろん、本当に困ったときに家族へ相談してはいけないということではありません。
本人が相談してきたら、一緒に状況を整理する。
でも、本人の代わりにすぐ会社へ連絡するのではなく、
「会社にはどう伝えたらいいと思う?」
と一緒に考える。
保護者の役割も、少しずつ変わっていきます。
内定後、保護者が意識したいのは「少しずつ任せる」こと
高校卒業は、親子関係が突然変わる境目ではありません。
3月31日までは高校生で、4月1日になった瞬間に何でも一人でできる社会人になるわけでもありません。
だからこそ、内定から入社までの数か月があります。
会社から届いた書類を本人が確認する。
自分で提出期限を管理する。
通勤経路を調べる。
必要なものを考える。
朝起きる時間を整える。
分からないことがあれば、自分から聞く。
一つひとつは小さなことですが、こうした経験が4月からの生活につながります。
保護者は全部手を離す必要も、全部手伝う必要もありません。
できることは本人に任せ、まだ難しいところは一緒に考える。
そのバランスを少しずつ変えていく期間だと考えてみてください。
入社までに親子で確認しておきたいこと
最後に、内定後から入社までの確認事項をまとめます。
- □ 会社から届いた書類を本人が確認している
- □ 提出物と期限を本人が把握している
- □ 入社日・集合時間・場所を確認した
- □ 通勤経路と家を出る時間を確認した
- □ 入社時に必要な服装や持ち物を確認した
- □ 必要な手続きについて会社の案内を確認した
- □ 春休みから生活リズムを整えている
- □ お金の管理について家庭で話した
- □ 困ったときに自分で確認・相談する意識を持っている
- □ 残りの高校生活も大切に過ごしている
全部を保護者がチェックするためのリストではありません。
ぜひ本人に、
「4月までに自分でやっておくことって、何がある?」
と聞くところから始めてみてください。
内定はゴールではなく、社会人生活へのスタートライン
高校生の就職活動では、どうしても「内定を取ること」が大きな目標になります。
でも、内定通知をもらった瞬間に、就職の目的が達成されるわけではありません。
大切なのは、その会社で働き始め、自分なりの社会人生活をつくっていくことです。
内定から入社までの期間は、そのための助走期間。
これまで、
「親が確認してあげる」
ことが多かった家庭でも、
「本人が確認して、必要なときに親へ相談する」
へ少しずつ変えていきましょう。
そして何より、高校生活は残りわずかです。
社会人になる準備をしながら、友達や先生と過ごす高校生としての時間も、大切にしてほしいと思います。