高校生インターンシップを「職業体験」で終わらせないために|学校と企業が考えたい5つのポイント
高校生インターンシップを「職業体験」で終わらせないために|学校と企業が考えたい5つのポイント
高校生のインターンシップというと、
「工場で実際の作業を体験する」
「接客をやってみる」
「社員と一緒に仕事をする」
といった「仕事体験」をイメージする方も多いのではないでしょうか。
もちろん、実際の仕事に触れることは大切です。
しかし、株式会社アッテミーが高校・企業と一緒に高校生インターンシップを実施してきた中で感じているのは、
「何を体験したか」だけではなく、「その体験から何を知り、何を感じ、将来をどう考えたか」が重要
だということです。
2026年夏にアッテミーが運営した高校生インターンシップには、150名が申し込み、139名が実際に参加。51社の企業・団体を訪問しました。
参加後のアンケートでは、企業について「とても理解できた」「少し理解できた」と回答した生徒が合わせて97%、満足度は10点満点中9.4点となりました。
今回は、その結果と実際の運営経験から、高校生インターンシップを単なる「職業体験」で終わらせないために、学校と企業が意識したい5つのポイントをご紹介します。
1.「何をやってもらうか」より先に「何を知ってほしいか」を考える
企業がインターンシップを考えるとき、
「高校生にどんな作業をしてもらおう?」
というところから考え始めることがあります。
しかし、その前に考えてほしいのが、
「インターンシップを通して、高校生に何を知って帰ってほしいのか?」
ということです。
例えば、
「この仕事が社会のどこで役立っているのかを知ってほしい」
「社員がどんな思いで仕事をしているのかを感じてほしい」
「働くことは怖いことではないと感じてほしい」
「学校で学んでいることが仕事につながっていると知ってほしい」
「業界の未来の可能性を知ってほしい」
など。
目的が決まると、同じ「作業体験」でもプログラムのつくり方が変わります。
作業をやって終わるのではなく、
なぜこの仕事が必要なのか。
誰の役に立っているのか。
社員は何を考えながら仕事をしているのか。
そこまで伝えることで、仕事への理解は深まります。
2.「仕事」だけではなく「働いている人」に出会える時間をつくる
今回の生徒アンケートで、とても興味深かった結果があります。
インターンシップで「よかった・印象に残った内容」を尋ねたところ、
- 会社の雰囲気
- 仕事内容
- 社員同士の人間関係
- 会社の施設・環境
などが挙げられました。特に「会社の雰囲気」は122名が選択し、最も多い項目でした。
高校生は、仕事だけを見ているわけではありません。
「どんな大人が働いているのか」
「社員同士はどんなふうに話しているのか」
「自分もこの中に入れそうか」
といったことも感じ取っています。
ですから、会社説明を人事担当者だけで完結させるのではなく、可能であれば実際に働いている社員と話す時間をつくることをおすすめします。
若手社員に、
「高校生のとき、どんな進路を考えていた?」
「入社して最初はどんな仕事をした?」
「仕事で大変だったことは?」
と話してもらうだけでも、高校生にとって「働く」がぐっと具体的になります。
インターンシップ満足度トップ3
3.高校生が「ちょっと見てみたい」と思える体験をつくる
高校生は、世の中にどんな仕事があるのかをまだ十分に知りません。
そのため、
「興味のある業界を選んでください」
だけでは、そもそも知らない仕事は選択肢に入りません。
2026年夏のインターンシップでは、一般の高校生からは仕事内容を想像しにくい港湾関連企業にも参加してもらいました。
実は参加した高校生の多くが、もともと港湾・物流業界を志望していたわけではありません。
「よく知らないけど、ちょっと見てみたい」
というところから参加した生徒が多かったのです。
当日は、実際に港へ行き、船や仕事の現場を見たり、社員の方と話したり、作業を体験したりしました。さらにクイズなどを取り入れ、参加者同士や社員の方との距離を縮める工夫もされていました。
大切なのは、
「この業界に興味がある人を集める」のではなく、「知らなかった仕事に出会える入口をつくる」
という発想です。
インターンシップだからこそできる「初めての出会い」を、ぜひプログラムに入れてみてください。
4.高校生が「自分も社会の一員になれるかもしれない」と思える関わりをつくる
高校生にとって、企業で大人と一緒に過ごすこと自体が貴重な経験です。
今回、インターンシップの前後で生徒の意識を比較したところ、
「自分は社会で役に立つ人間だと感じる」に「とても思う」と回答した割合は、
19.4% → 25.2%
に上昇しました。
一方、「働くことに不安を感じる」に「とても思う」と回答した割合は、
41.9% → 24.4%
へ減少しています。
これは非常に大切な変化だとアッテミーでは考えています。
高校生インターンシップの価値は、仕事を知ることだけではありません。
企業の大人から、
「ありがとう」
「上手だったね」
「助かったよ」
「こんな仕事も向いているかもしれないね」
と声をかけてもらう。
自分の質問に大人が真剣に答えてくれる。
そんな小さな経験を通して、
「自分も社会の中でやっていけるかもしれない」
と思えることがあります。
だからこそ、企業には高校生を単なる「見学者」として扱うのではなく、一人の参加者として関わってもらうことが重要です。
高校生インターンシップによる自己有用感・自己肯定感の変化
5.「実施して終わり」にせず、振り返って次につなげる
そして最後に大切なのが、振り返りです。
2026年夏のインターンシップ終了後、アッテミーでは参加企業を対象に振り返り会を開催しました。
各企業には、自社に参加した高校生のアンケート結果をフィードバックしています。
全体平均と比較しながら、
「ここは評価が高かった」
「思ったほど伝わっていなかった」
「次回はプログラムを変えてみよう」
「担当する社員を変えてみよう」
など、次回への改善につなげています。
参加企業からも、
これまでのイベントは「やって終わり」だったが、高校生の反応をフィードバックしてもらい、次にどう改善するか相談できることがよかった
という声がありました。
インターンシップは、一度完成したプログラムを毎年繰り返すものではありません。
生徒の反応を見ながら、
実施 → 振り返り → 改善 → 次回実施
を繰り返すことで、学校にとっても企業にとっても、より意味のあるプログラムになっていきます。
高校生インターンシップの目的は「仕事を体験すること」だけではない
2026年夏のアンケートでは、インターンシップが今後の会社選びや進学先選びの参考になるかという質問に、
81%が「とても参考になる」
18%が「少し参考になる」 と回答しました。
つまり99%の生徒が、今回の経験を何らかの形で今後の進路選択に役立つと感じています。
高校生インターンシップは、
仕事を体験する場所
であると同時に、
知らなかった仕事や大人に出会い、自分と社会とのつながりを考える場所
でもあります。
学校と企業が「何を体験させるか」だけではなく、
この経験を通して、高校生に何を持ち帰ってほしいのか。
そこから一緒に考えることが、高校生にとって意味のあるインターンシップをつくる第一歩だと、アッテミーは考えています。
次回予告
次回は、2026年夏にアッテミーが実施した高校生インターンシップについて、139名の高校生のアンケート結果と参加企業の振り返り会から見えてきた成果や課題を詳しくご紹介します。

