「知らない仕事」を高校生の選択肢に|会社見学0人から14名が参加したインターンシップ事例

「知らない仕事」を高校生の選択肢に|会社見学0人から14名が参加したインターンシップ事例

高校生に自社のことを知ってほしい。

そう考えて、合同企業説明会に参加したり、採用動画を作ったり、高校生向けに仕事内容を分かりやすく説明したり。

それでも、

「高校生が会社まで来てくれない」

という悩みを持つ企業は少なくありません。

特に、BtoB企業や専門性の高い仕事は、高校生にとって仕事内容そのものを想像することが難しく、

「興味がない」というより、

そもそも「知らないから選べない」

ということがあります。

2026年夏、アッテミーの高校生インターンシップに参加したある港湾関連企業も、まさにそんな課題を抱えていました。

これまで高校生向けのイベントへの出展や動画制作などに取り組んできましたが、会社見学にはなかなかつながりませんでした。

ところが今回、インターンシップの見せ方とプログラムを工夫したことで、14名の高校生が参加しました。

何が変わったのでしょうか。

今回は、実際の取り組みから、高校生にとって「知らない仕事」を「ちょっと見てみたい仕事」に変えるインターンシップのつくり方を考えます。


なぜ仕事内容を説明しても、高校生には伝わりにくかったのか

今回ご紹介する企業は、貨物船で運ばれる大型貨物を固定するための資材を扱うなど、港湾物流を支える専門性の高い事業を行っています。

港湾業界の関係者には分かる仕事でも、一般の高校生が、

「どんな場所で」

「誰が」

「何をしている会社なのか」

をイメージするのは簡単ではありません。

企業側もこれまで何もしてこなかったわけではありません。

合同企業説明会などへ参加し、展示ブースを工夫したり、会社や業界を紹介する動画を作ったりしていました。

イベント会場では、少しずつ高校生がブースに来てくれるようになりました。

しかし、

そこから実際の会社見学にはつながらない。

そんな状態が続いていました。

これは、専門性の高いBtoB企業などでは起こりやすい課題です。

仕事内容をどれだけ丁寧に説明しても、高校生の中に比較するための経験や知識そのものがないためです。


「この業界に興味がある人」ではなく「ちょっと見てみたい人」を集める

そこで今回、アッテミーと企業が意識したのが、

仕事内容を説明することから始めない

ということでした。

高校生に案内するときに前面に出したのは、

「港湾業界に興味がある人」

「物流の仕事を知りたい人」

という募集ではありません。

代わりに、

普段は入れない港の中を見ることができる。

大きな船を間近で見ることができる。

今ここで参加しなければ、今後なかなかできないかもしれない体験ができる。

そんな「特別な体験」を、高校生に伝えました。

さらに、社員の人柄や会社の雰囲気が伝わる写真なども前面に出しました。

狙ったのは、

「この業界に行きたい」ではなく、
「よく分からないけど、ちょっと見てみたい」

という気持ちです。

その結果、14名の高校生がインターンシップに参加しました。


実際、港湾・物流に興味があった高校生はごく少数だった

ここが、この事例で特に興味深いところです。

インターンシップ当日、自己紹介を兼ねて、

「どうしてこの会社を選んだの?」

と高校生たちに聞きました。

すると、もともと港湾・物流・船に強い興味を持って参加した生徒は、ごく少数でした。

多くは、

「よく分からないけど、ちょっと見てみたかった」

というところから参加していたのです。

これは、キャリア教育を考える上でも大切なポイントだとアッテミーは考えています。

高校生に、

「興味のある業界を選んでください」

と聞いても、知っている業界の中からしか選ぶことはできません。

だからこそインターンシップには、

まだ知らない仕事と出会う

という役割があります。

最初から志望者を探すのではなく、まず「知る人」を増やす。

それが、将来の選択肢を広げる第一歩になります。


当日は「見る・話す・やってみる」を組み合わせる

せっかく高校生が会社へ来ても、一日中会社説明を聞くだけでは、仕事への理解はなかなか深まりません。

今回のプログラムでは、

実際に港へ行く
船を見る・入れる日は中にも入る
現場で働く人と話す
実際の作業を体験する

など、さまざまな体験を組み合わせました。

さらに、会社や仕事について学ぶクイズも実施。

参加者それぞれに回答する機会をつくり、正解すると社名入りのお菓子がもらえる仕掛けにしました。

複数の学校から参加した高校生同士が、

「これじゃない?」

「こっちだと思う」

と相談しながら答えることで、参加者同士の緊張もほぐれていきました。

社員も一緒に盛り上げることで、その後のコミュニケーションが取りやすい雰囲気につながりました。


特殊な仕事ほど「小さく再現する」という方法もある

港湾の仕事には、安全面や設備面などから、高校生にそのまま体験してもらうことが難しい作業もあります。

そこで今回のプログラムでは、身近な材料を使ったミニチュアも活用しました。

実際の仕事を小さく再現することで、

なぜ固定する必要があるのか

どんな技術が使われているのか

この仕事が何を守っているのか

を、高校生にも理解しやすく伝えました。

これは港湾業界に限りません。

製造、建設、物流、設備、ITなど、

「本物の現場をそのまま体験させるのは難しい」

という仕事でも、

仕事の一部分を高校生向けに切り出したり、小さく再現したりする

ことで、体験プログラムをつくることはできます。


高校生だけでなく、社員にも変化があった

今回の振り返り会では、もう一つ印象的な話がありました。

高校生を受け入れる前には、若い人と話す機会が少なく、社員の中にもインターンシップ受入れへの戸惑いがあったそうです。

ところが実際にやってみると、社員自身も高校生との交流を楽しみ、

「やって楽しかったね」

という感想が従業員の間にも広がったと話されていました。

高校生インターンシップは、高校生だけの学びではありません。

普段、自社の仕事について高校生に説明する機会がない社員が、

「自分たちの仕事の何がおもしろいんだろう」

「高校生には何が響くんだろう」

と改めて考える。

そんな社員側の自社理解や採用への参加意識にもつながる可能性があります。


14名来たら成功、ではない

一方で、今回の取り組みは、

「14名集まったから成功」

で終わりではありません。

参加したのは主に高校2年生。

実際の就職活動まではまだ時間があります。

振り返りでは、

「楽しい機会を提供して終わりにしない」

ことも次の課題として話し合いました。

今後は、

学校とのコミュニケーションを続けること

一度参加した高校生が、3年生になったときにもう一度会社へ来られる接点をつくること

今回の高校生の反応をもとに、次回のプログラムを改善すること

などに取り組んでいく予定です。

インターンシップは、それだけで採用が完結するものではありません。

知る → 興味を持つ → もう一度見る → 比較する → 応募を考える

という高校生の意思決定の入口として捉えることが重要です。


高校生に知られていないことは、弱みだけではない

高校生採用では、

「うちは知名度がないから」

「仕事内容が高校生には分かりにくいから」

と悩む企業も少なくありません。

しかし今回の事例を見ると、

「知らない」からこそ、インターンシップで初めて知る面白さをつくれる

とも考えられます。

大切なのは、最初から仕事内容を完璧に理解してもらうことではありません。

まず、

「なんか面白そう」
「ちょっと見てみたい」

という入口をつくる。

そして実際の現場で、

見る。
話す。
やってみる。

その体験を通して初めて、

「こんな仕事があったんだ」

「こういう人たちが働いているんだ」

「自分にも関係のある仕事かもしれない」

と、高校生の中に新しい選択肢が生まれます。

高校生インターンシップは、すでに自社を知っている高校生を集めるだけではなく、まだ自社や業界を知らない高校生との最初の接点をつくる方法にもなるのです。


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